雨の日が続いていること。
春を告げるためなのだろうか、三月の千葉は雨の日が多いーー最も彼の頭痛と雨とのシンクロが三月に多いというだけで、気象学的にどうかは知らない。彼の記憶による統計学だ。嫌なことはなかなか忘れない、そういう性分なのだーー
まるで冬の日の休みを取り戻さんとばかりに、雨雲が連日、上空で働いている。
春は、彼にとって最も嫌いな季節だ。

ひとつは、相続によって会社を辞めたこと。
辞めた理由は明白で、システムエンジニアという仕事が想像以上に保守的で、退屈であったからだ。
クリエイティブだとか、イノベーションだとか、それらしい単語が飛び交う職場ではあるのだが、その根本は「海外では主流だから」。
日本で最先端と持て囃される技術は、海外では既に主流となっているもので、米系企業のサービスのサポート切れだとか、開発体系に指定のある落札案件だとかで、対応せざるを得なくなっただけのことである。